SOSタイタニック号 1

SOSタイタニック号
ジャック・ウィノカー:編、佐藤亮一:訳
10月10日(笑)から三ヶ月後の1月10日、
免疫力が落ちてるから絶対安静!と医師から言いつかり
一日ベッドに横になりながら、読破してしまいました。
405頁。見開き4段!
史実の重みにぐーっと引き込まれた。
ドラマ性はほとんどなく(また、それを求めたものでもない)
生還者によって語られた事実のみが列挙されているのだが、
その、ある種淡々と語られる事実から、
(いや、もしかしたら、パッショネートに語られたものかも
しれないのだけれど、全体を貫くこの本のトーンが)
船員や乗客たちが死と向かい合いながらも、
矜持を失うことなく働き振舞った、そのことに、深い敬意と感動を覚える。
>船上の楽団が、船が船尾を逆立てて海中に沈むとき、本当に
>「主よ、御許に近づかん」を演奏したのだろうか?
この一文は、私がこの本を読みたい、と思った動機のひとつだけれど
結論から言えば、この曲ではなく「秋」が演奏された。
いずれにしても、彼らもまた彼らの仕事をした。十二分に。
船が(沈む寸前に)直立に立ち上がるまで。
マードック航海士はピストル自殺を遂げたのか?
これは、二説あって結論は出ていない。
船上での階級は低くても、
罐番(ボイラー)たちが職務を放棄しなかったことによって、
沈没の直前までデッキは明るく
その灯りは人々の行動を助け、そして電力が保たれたことで
唯一の命綱、通信機器も動いていたのだった。
タイタニックは救助を依頼する第一報から
「まもなく沈没する」という最期のメッセージまで打つことが出来た。
>機関士とその部下は―私はデッキで機関士の姿を
>一人でもいいから見たという人を知らない―はるか下の方で
>まだ電灯のエンジンの仕事についていた。
>彼らはその後、人間の力ではこれ以上一瞬も
>もちこたえられなくなるまで、つまり、船が一方にまっすぐ傾いて
>エンジンが取れて落ちるまで、それを動かしつづけた。
<中略>
>デッキのように、いざとなったら飛び込んで泳いで助かる見込みも
>ある場所から遠く離れた、はるか下の船内にとどまり、そして
>船が沈んだら―間もなく沈むに違いないことを彼らは知っていたが―
>とても、間に合うように海に脱出できるのぞみのないことを
>知っていながら、最期の瞬間までデッキを明るく保つために
>エンジンを動かし続けるのは、崇高な勇気を要することだった。
救命ボートでの退避は、女性・子供を優先に行われたが
その女性同士の中でも、
「貴女は結婚されていてお子様もおいでだし、お先にお乗りなさい。」
と譲り合いがあった。
当時の新聞が大事故に便乗して売らんがための
センセーショナルな記事を書き掲載したようだが、
―群集は恐怖にかられてデッキを走りまわり、
殴り合い、いがみ合った―といったような―
実際は、殆ど混乱も騒乱もなく、
人々の態度は“静かな勇気に満ちていた”と記述されている。
タイタニック号からの無線を受け、救助に駆けつけた
カルバチア号の船長の言葉。
>「私は無線の通信範囲内にいたことを、そして難破船の
>生存者を救うのに間に合ったことを、神に感謝する」
そして、今にも転覆しそうな救命ボートの上で、
それぞれ宗派も祈る文言も異なる人々が
「主への祈り」が最も皆に適当なものであると決定し
揃って祈りを捧げたという文章を目撃して、
―私自身は特定の宗教に属していないけれど―
人知を超えた出来事に遭遇したり
もう、これ以上なすすべがないと、自身の無力を悟ったとき
やはり人間は「祈る」のだ、と、何か見知らぬものへの畏敬を感じた。
それは、唐突にひとつの問いに突き当たる。
誰がこの場所(宇宙―スペース―)を用意したのかと。
(↑これを考え始めるととりとめもなくなるのでやめ~(-_-)・・・)
また、前述のカルパチア号の船長のように、自身の力を最大限に発揮し
大きな働きを成した時でも―彼らの称賛されるべき行いこそが多数の
命を救ったのに―なお、神の仕業に感謝を述べるその謙虚さは
やはり、崇高さに満ちている。
15日から始まる舞台は、この史実を、どのような切り口で、どのように示すのか。
どのようなメロディで。
1912年の4月の海を生き死んだ人々へ鎮魂の想いを僅かに抱えながら、
劇場に足を踏み入れます。
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コメント
もう鏡開きも終っていますが、あけましておめでとうございます。
そしてお邪魔致します。m(__)記事読ませて頂きました。タイタニックのお話…ホントにぐっと来るどころか泣けてしかたなかったです。死を覚悟して最後まで人を思いやれるか。ちょっと考えるだけでそんな状況怖すぎです…(T_T)。ディカプリオが出演していた映画が話題だったときタイタニック展に行き引き上げられた品物を見ましたが、あの品々はそんな人たちが持っていたものなんだなーとホントに今更思います。(遅い…汗)舞台心して見たいと思います。
投稿: ion | 2007年1月13日 (土) 02時18分
>ionさん
明けました(笑)おめでとうございます。
11月にたった6日間の芝居が終わって、来年まで長いな~
と思っていたけれど、タイタニック出航目前ですね。
舞台はエンターティメントだから、
素直に楽しみたいとも思ってますが♪
海底から地上に戻った品々たちは、今もどこかで
舞台や書物同様、誰かに何かを語りかけているのでしょうか。
投稿: yaya | 2007年1月13日 (土) 12時37分
続けて失礼します。
お身体大丈夫ですか?め、めんえきりょく?それはとんでもない事だ。風邪もどんな病気も薬で治るのではなくて、薬で症状を抑えて、自分の免疫力で治るものなので、お大事になさって下さいね。死なないでください。これ以上置いていかれたくないので。
タイタニックについては小学生の時から興味があって色々本を読んだり、ネットで調べたりしたのですが、そういえば最後まで通信できてましたものね。一番最初に灌水する場所なのに・・・。舞台の方の特集が月間ミュージカルか何かに載っていたのですがそれだけ読んだだけで(しかも立ち読み)涙が出てきてしまって帰りの電車ずっと涙をかみ殺すのに必死でした。という訳でとても舞台は見られないので(お財布的にも今月は厳しい)この本買おうかな・・・。
投稿: FURI | 2007年1月13日 (土) 16時57分
文章読んでるだけで泣けてきました。
ボイラー係や通信士、すごい人たちだったんですね。
舞台ではどうなるのでしょう。
あさってが楽しみです。
投稿: anju | 2007年1月13日 (土) 19時05分
yayaさん、お身体大丈夫ですか?
私も正月明け大変だったんだけど(すっかり良くなりました)・・・まあ、読書三昧(笑)されたようだから大丈夫そうだけど・・・?お大事にしてね。
「タイタニック」もうすぐ・・楽しみですね。私の1回目の乗船は16日です(岡さんトークの日でなくて残念、でも、岡田君「ナースのお仕事」の水島先生の時から少しファンだったので楽しみ、yayaさん知ってる?ナースのお仕事)その日は友達と横浜経由で遊びながら出かける予定です。
私もよく祈ります。困った時の神頼み(笑)
やっぱり大事な人が困っている時、自分がどうしてあげることもできないとき・・祈ります。神は私には見えないけれど、心の中にいるのかもしれませんね。
MA原作(遠藤周作さんの王妃マリーアントワネット)の中にも神の存在がある。私も特定の宗教には属していないけど、人間生きていくうえで、必要なものなのかもしれないな・・?
投稿: みーねこ | 2007年1月13日 (土) 19時34分
>FURIさん
こんばんは。結構ダメです~。5日に仕事して、6・7日はそれぞれのコンサート参戦。8日欠勤、9日仕事、10日欠勤^_^;って感じですかね~。今日も医師に現症聴かれ(前回、薬処方時に、『よく効くのチョイスした』と自信満々に言われたので・笑)→「すみませんけど、まったく改善されないです。」と自信満々に答えたのでした。でも、薬でなく、自分の治癒力を鍛えないといけないのですね。しかし、死にませんよ~。レ・ミ博多楽終了までは~!!と思っていたら、蜘蛛女観るまでは~(つか、カズさんのジキ・ハイ実現するまでは!?)
今月お財布厳しいなら、来月もやってます(笑)⇒タイタニック!
>anjuさん
泣けますよね(/_;)中略した部分は、ホント、分かりづらい日本語で割愛したのですが、「人間がエンジンの側を離れることはなかった。エンジンの方が(落ちて)人間の側を離れるまで」というような内容が書いてありました。もう、彼らには動かすべきエンジンが無くなるその時まで、職務を遂行したと。
灯りもない暗闇の中での避難だったら、どんなに心細くそして危険だったでしょう。最期まで立派に勇敢に生きた人々の行いに胸を打たれます。
>みーねこさん
ということで、結構ダメダメです^_^;
年末頃とかみんなが弱ってるときは一人で元気な私だったのですが。お腹にもくるし、みーねこさんも大変だったのでは?でも、遠征にはすっかり回復で良かったですね。薬服用よりチケット眺めている方が効くかも!?「ナースのお仕事」チラ見したことはあるけれど、内容はあまりよく分かりません~。
『祈る』という行為や祈りの対象を発明(?)した人間の思考の深さというか、ある意味想像力にも感慨を覚える今日この頃です。
投稿: yaya | 2007年1月13日 (土) 22時53分